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日々考えていることを思うままに。ひっそりと栃木SCを応援しつつ、かなり脱線してます。(注:エキサイトブログを除き、リンクのないトラックバックは受け付けない設定となっております)


by silky_wing

私的石田衣良論。

今回もblues1974さんに触発されてのエントリ。石田衣良は今一番好きな作家なので、いつかは書きたいと思ってたので、TBがてらにエントリを。

私見ではあるが、この作家の優れた部分は、「人が良く書けている」という一点に凝縮される。具体的には、「男性作家としては女性の描写が上手い」(姫野カオルコさんの『娼年』のあとがき、同感でした)、「人情味を基調としながら、悪人の描写もまあまあイケる」点なんじゃないかなあと思います。多くの分野を器用にこなせるっていうのもあるけど、それは読者目線の話とは別だと思いますし。

blues1974さんの「ミステリィとしての凡才」は至言。このシリーズ、読んでる人は分かると思いますが、ほとんどの作品に、謎解きと呼ぶにしては明確すぎる規則性があるんですよね。軽妙洒脱に「今」を切り取った小説として(もっとも、連載→単行本→文庫というサイクルによって「鮮度」が落ちてしまうのが悩ましいのですが)、「安心して読める」シリーズという位置づけが適切なんじゃないかと思います。

ただ、最近は仕事が多くなったのか、ちょっと筆が荒れ気味なのが不満。作家というのは人気商売だから売れるときに売っとかないとという思いはあるのでしょうが、読者というのは実にわがままで(笑)、書店でまた新作が出たと喜んでおきながら、読み終わって文句を言うものなのです。

なので、R25の連載やワイドショーなど、最近の活躍で彼を知った方は、少し前の作品から入るといいと思います。個人的には、『娼年』がダントツのオススメですが、この時期(単行本だと、2000年前後?)の作品は、ハズレなしだと思いますので。
by silky_wing | 2005-09-24 19:11